きれいなふたり

小3の頃の自分はもっと純粋で、
「怪物くん面白い!かっこいい!」
って、ただそれだけの無垢な気持ちで大野智くんを好きになった。



お小遣いを貯めて、テストでいい点を取ってねだって、CDを買った。
あの頃のシングルラッシュは小学生には辛くて、お気に入りのものしか買えなかった。
それでも嵐のことが好きで仕方がなくて、一年間のご褒美としてアルバムを買っていた。スマホなんて持ってないから、CDプレイヤーで何回も何回も聴いた。好きな曲は何度も巻き戻して聴いた。巻き戻すときの、キュルキュルって音が懐かしい。



中学生になって、やっとFCに入っていいよって許可をもらえた。
郵便局で緊張しながら青色の振込用紙に嵐って書いた。
周りのジャニヲタは当たり前のようにFCに入っていたから、貧乏だった私はちょっと恥ずかしくて、悔しくて、ごめんねって何度も謝った。
でも、それよりも、やっと嵐のファンだって認めてもらえた気がして嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。



すごく、ものすごく、好きだった。
大野くん以外はありえないって、嵐以外はありえないって思ってた。
大野くん以上にかっこいい人なんてこの世にいるわけがないって本気で思ってた。



中2の時、ちょっぴり気持ちが違うところへ向いちゃって。オジサンに恋してるのが嫌になって、若い子たちが眩しくて、ちょっとだけ浮気しちゃった。
あれだけ大野くん以外はありえないって言ってたのに、呆気なくて笑っちゃった。純粋だったあの頃の自分は、どこにもいなかった。



それでもやっぱり離れられなくて、中3で大野くんに戻った。
やっぱり私には大野くんしかいないねって、ごめんねって、何度も何度も謝った。違う人なんか見るもんじゃないね、大野くん以上にかっこいい人なんていないんだからねって言い聞かせた。あの頃の自分の姿を強く心に刻んだ。



刻んだ、はずだった。



高1の夏、出会ってしまった。
吉沢亮くんに。
好きになるまで、一瞬だった。
小3の頃と変わらない、かっこいい、ただそれだけの気持ちが私を動かした。中2の時とは違って、純粋だった。
それでもやっぱり大野くんのことが好きで、吉沢さんへの思いは夏の思い出に閉じ込めようって思った。ひと夏の恋にしようって、いい思い出にしようって、言い聞かせてた。
でも、だめだった。
そうやって閉じ込めようとするほど、好きになった。会いたくなった。トークショーまで行ってしまった。
初めて生で見る吉沢さんは、写真の何億倍も綺麗な顔で、キラキラしてて、めちゃくちゃかっこよかった。
私は初めて生で大野くんを見たときのことを思い出した。キラキラしててかっこいいって、ときめきが止まらなかったなあ、なんて思い出した。



人の気持ちなんて単純なもので。
こんなに何回も他の人を見てしまうなんて、自分がおかしかった。
純粋に好きになった吉沢さんは、当たり前だけどいい人すぎた。好きになる人だけあって、内面まで好きな要素しかなかった。



そうやってずるずると引きづってる間に、
2019年1月27日、
大野くんとの時間の有限性を知った。
もちろんと言うように、コンサートに応募した。
なんだか苦しかった。
大野くんのことを利用してるみたいで嫌だった。2020年で会えなくなっちゃう、だから会えるうちに会っておこう。そうやってるみたいですごく、すごく心が傷んだ。



ふと、考えてみた。
大野智くんと吉沢亮くん。
好きになってから気づいたけど、この二人は全然似ていないようで、そっくりだった。私の独断だけど。
あれほど人に誇れるスキルを持ちながら自分にとっても自信がなくて、裏で血が滲むような努力をしていながら表では微塵も見せなくて、自然と人を笑わせる立場に回ってくれる、気の使える、気を使いすぎる、頑張りすぎちゃう、すごくすごく愛しい人。
よく闇抱えてそう、なんて言われるところもなんだか似てるなあって思った。
真面目で、愚直で、ただひたすらに真っ直ぐで。辛いことがあっても弱音なんて吐かずに、前しか見ない、ものすごくかっこいい人。周りにも全く弱いところを見せないから、ひとりで抱え込んで、ひとり心の中で葛藤してそうで、守ってあげないといけないって思わせられる。
そんな二人だから好きになっちゃったんだろうなって思った。この二人じゃないとだめなんだ。



ふと、ちっちゃい頃に食べた、虹色のセロファンに包まれたラムネを思い出した。
太陽にかざすとキラキラ虹色に煌めいて、それがなによりも綺麗に見えて好きだった。宝石なんかより輝いていて素敵に見えていた。
あの時の胸の高鳴りと似たような感情を二人には感じる。
二人はとても綺麗だ。
儚くて触れたら消えてしまいそうなほど繊細で輝いてる。
綺麗なものに心惹かれるのは永遠に変わらない感情だと思う。
二人が誰よりも綺麗に見えた。私には。だから二人に惹かれてしまった。それだけだと思う。



二人ともこの世界をただ美しい世界とは見ていないんだろうな、と思う。
美しくない世界を美しくないと感じそれを体現する美しい二人。
二人を見てるとなんだか落ち着くのは、二人が人間の汚いドロドロした沼の部分まで表現してくれるから、なのかもね。



私は、大野くんのことも、吉沢さんのことも、大好きだ。
利用してなんかいない。
私の希望、将来、夢、すべてを照らしてくれる光。
ただ単純に真っ直ぐ照らすわけではなく、屈折して暗い部分もあるけれど、それでも私を照らしてくれる。
人間らしくて、人間らしすぎて、すごく近くに感じるのに実際はものすごく遠くて。
でもそれがなんだか丁度いい。
純粋に好きになった二人を、純粋な気持ちのまま見て、憧れて、美しさを感じて。
二人へ向ける思いだけはいつまでも綺麗でいられる。
自分が綺麗でいるためには、二人がいないとだめなんだ。一人でもだめ。今の私には二人が必要なんだ。



永遠の憧れ。愛。